人工血管挿入後も働きながら障害年金を受給できる?【社労士が解説】
「人工血管を入れた後に復職しました。障害年金は申請できますか?」
「フルタイム勤務だと、受給は難しいのでしょうか?」
「職場に配慮してもらっていることを、どう説明すればよいですか?」
人工血管挿入後に仕事を続けている方から、このようなご相談があります。働いているという事実だけで、障害年金の対象外になるわけではありません。ただし、手術内容と一般状態、実際の働き方を正確に伝える必要があります。
✅ この記事で分かること
- 人工血管挿入後も働きながら受給できる可能性がある理由
- 障害厚生年金3級と一般状態区分の関係
- 就労状況について審査で確認されるポイント
- 診断書と病歴・就労状況等申立書への反映方法
- 受給後に就労状況が変わった場合の注意点
💡 この記事の結論
人工血管挿入後も、働きながら障害年金を受給できる可能性があります。正社員やフルタイムという雇用形態だけで決まるものではありません。
胸部大動脈解離・胸部大動脈瘤による人工血管挿入では、一般状態区分が「イ」または「ウ」であることなどが3級の例示です。仕事内容、勤務時間、休憩、欠勤、職場の配慮、仕事後の生活まで含めて判断されます。
人工血管挿入後も「就労中」というだけで対象外にはならない
障害年金には、「働いていたら請求できない」という一律の要件はありません。重要なのは、原因となった傷病、初診日の年金制度、保険料納付状況、現在の障害状態です。
国民年金・厚生年金保険障害認定基準では、胸部大動脈解離または胸部大動脈瘤により人工血管を挿入し、一般状態区分表の「イ」または「ウ」に該当する状態が3級として例示されています。人工血管にはステントグラフトも含まれます。
「イ」は、軽度の症状があり肉体労働は制限されるものの、歩行、軽労働、座業はできる状態です。したがって、事務作業などを続けていることと、基準上の「イ」は必ずしも矛盾しません。
ただし、3級は障害厚生年金にある等級です。初診日に国民年金へ加入していた方は、人工血管と一般状態区分「イ」だけで障害基礎年金2級になるわけではありません。
人工血管挿入後の働き方で確認される5つのポイント
| 確認項目 | 整理したい内容 |
|---|---|
| 仕事内容 | デスクワークへの変更、重量物・高所作業・夜勤の免除 |
| 勤務時間 | 短時間勤務、勤務日数、残業の制限、時差出勤 |
| 勤務の安定性 | 欠勤・遅刻・早退、休職歴、体調悪化による中断 |
| 職場の配慮 | 休憩場所、通院休暇、業務量の軽減、同僚の援助 |
| 仕事以外の状態 | 通勤や帰宅後の疲労、家事・入浴・外出への影響 |
役職名や給与額だけでは、実際の労働能力は分かりません。手術前と同じ会社で働いていても、業務を軽くしてもらい、残業や出張を免除されている場合があります。反対に、短時間勤務でも強い負担が生じているケースがあります。
審査では、「何時間働いているか」だけでなく、どのような条件や援助があるから仕事を続けられているかを具体的に示すことが重要です。
就労状況は診断書と申立書の両方で伝える
診断書では日常生活活動能力・労働能力を確認する
人工血管による大動脈疾患では、通常「循環器疾患の障害用」の診断書を使用します。診断書には、一般状態区分のほか、「現症時の日常生活活動能力及び労働能力」の記載欄があります。
医師には、勤務先や肩書だけでなく、業務変更、残業免除、休憩回数、欠勤、通勤後や帰宅後の状態を事実に沿って伝えましょう。医学的な評価と記載は主治医が行うため、等級や区分を指定するのではなく、普段の状態を説明します。
病歴・就労状況等申立書では手術前後の変化を書く
申立書では、発症から人工血管挿入、休職、復職までを時系列で整理します。就労欄には、次のような具体的事実を記載します。
- 手術前に担当していた業務と、復職後の業務
- 勤務時間・日数・残業時間の変化
- 免除された作業や、会社から受けている配慮
- 体調不良による欠勤・早退・休憩の頻度
- 帰宅後に横になる時間や、休日の過ごし方
診断書では「特に制限なし」、申立書では「大幅な業務軽減」となっているなど、書類間に大きな不一致があると実態が伝わりません。診断書を受け取ったら、本人が修正せず、記載漏れや事実関係を確認してください。
同じフルタイム勤務でも評価材料は異なる
例えば、福岡市内の勤務先へフルタイムで復職していても、デスクワーク限定、重量物禁止、残業・出張免除、随時休憩が認められている場合があります。このようなケースでは、「フルタイム勤務」という一語だけでは働き方の実態を表せません。
一方、手術前と同じ肉体労働を配慮なく行い、欠勤もなく、日常生活にも制限がない場合は、一般状態区分「イ」または「ウ」と整合しない可能性があります。雇用形態ではなく、客観的な勤務実態と生活状態を整理することが大切です。
受給後に働き方が変わった場合の注意点
障害年金を受給しながら働き始めても、それだけで直ちに支給停止になるわけではありません。ただし、更新時には、その時点の症状、一般状態、日常生活、就労状況があらためて確認されます。
勤務時間が増えた、配慮が不要になった、反対に休職したなど、状態が変わった場合は、更新時の診断書へ現在の実態を正確に反映することが重要です。なお、20歳前傷病による障害基礎年金には、本人所得による支給制限があります。
よくあるご質問
Q1.正社員・フルタイムでも申請できますか?
申請できます。正社員やフルタイムというだけで対象外にはなりません。業務内容、勤務時間、欠勤、職場の配慮、一般状態などを総合的に検討します。
Q2.収入が高いと障害年金は受給できませんか?
収入額だけで一律に決まるものではありません。給与は就労状況を確認する資料の一つですが、実際の仕事や配慮の内容も重要です。20歳前傷病による障害基礎年金には、別途所得制限があります。
Q3.デスクワークなら障害状態に該当しませんか?
デスクワークをしていても可能性はあります。一般状態区分「イ」は、肉体労働は制限されても座業ができる状態を含みます。ただし、人工血管の部位や原因疾患など他の条件も確認されます。
Q4.職場の配慮はどのように証明しますか?
就業規則だけでなく、実際に受けている配慮を整理します。勤務表、休職・復職時の書類、業務変更の通知などがあれば、申立書作成時の参考になります。
Q5.働いていることを会社へ知らせる必要はありますか?
障害年金の申請を必ず会社へ報告する制度ではありません。ただし、勤務状況に関する資料が必要な場合や会社の配慮を確認したい場合は、提出方法を個別に検討します。
Q6.受給後に勤務時間を増やすと支給停止になりますか?
勤務時間を増やしただけで直ちに停止されるとは限りません。更新時には症状や一般状態、配慮の変化を含めて審査され、等級変更や支給停止となる可能性はあります。
Q7.自営業でも働きながら受給できますか?
自営業という理由だけで対象外にはなりません。ただし、労働時間や業務量を客観的に示しにくいため、受注量、休業日、家族の代行、作業制限などを具体的に整理します。
福岡で人工血管と就労の障害年金相談をしたい方へ
あひる社会保険労務士法人では、社会保険労務士の野田大吾郎を中心に、人工血管挿入後も働いている方の障害年金申請をサポートしています。
本社は福岡市中央区平尾2-3-24 ビバーン平尾2F(西鉄平尾駅徒歩3分)、相談会場はJRJP博多ビル3F(JR博多駅直結徒歩1分)です。初回相談は無料です。
報酬は受給決定後の障害年金2か月分です。初回に数か月分が入金されるため、持ち出しは原則ありません。不支給の場合は報酬をいただきません。

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