胸部大動脈解離・大動脈瘤で障害年金は受給できる?認定基準を社労士が解説
「胸部大動脈解離で手術を受けたら、障害年金の対象になる?」
「大動脈瘤が残っている場合は何級になる?」
「仕事に復帰していても申請できる?」
胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤は、治療後も継続的な管理が必要となることがあります。仕事や日常生活に制限が残り、障害年金を利用できないかと考える方もいらっしゃるでしょう。
障害年金では、病名だけで受給可否が決まるわけではありません。人工血管の挿入、一般状態、難治性高血圧の有無、合併症や手術後遺症、初診日に加入していた年金制度などを確認します。
✅ この記事で分かること
- 胸部大動脈解離・大動脈瘤で障害厚生年金3級となる条件
- 人工血管やステントグラフトの取扱い
- 難治性高血圧を合併している場合の認定基準
- 合併症や手術後遺症による1級・2級の可能性
- 初診日、障害認定日、診断書で注意するポイント
💡 この記事の結論
胸部大動脈解離・胸部大動脈瘤は、一定の条件を満たせば障害年金を受給できる可能性があります。障害厚生年金3級の基準として、主に次の2つが明示されています。
- 人工血管を挿入し、一般状態区分表の「イ」または「ウ」に該当する
- 胸部大動脈解離・胸部大動脈瘤に難治性高血圧を合併している
一方、大動脈瘤があるだけでは、原則として認定対象になるとは限りません。また、初診日に国民年金へ加入していた場合は3級がないため、2級以上に該当するかを確認します。
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胸部大動脈解離・大動脈瘤の障害年金認定基準
胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤は、障害認定基準の「心疾患による障害」に含まれる大動脈疾患として審査されます。
胸部大動脈解離には、上行大動脈に解離があるStanford分類A型と、上行大動脈まで解離が及んでいないB型があります。認定基準では、いずれも3級の対象疾患として示されています。
胸部大動脈瘤には、胸部と腹部にまたがる胸腹部大動脈瘤も含まれます。ただし、大動脈瘤が存在することだけで障害年金が認定されるわけではありません。原疾患の活動性、手術、合併症、一般状態などを総合的に確認します。
障害厚生年金3級となる2つの基準
| 3級の基準 | 確認する内容 |
|---|---|
| 人工血管を挿入した場合 | 胸部大動脈解離または胸部大動脈瘤により人工血管を挿入し、一般状態区分が「イ」または「ウ」に該当する |
| 難治性高血圧を合併した場合 | 胸部大動脈解離または胸部大動脈瘤に、認定基準上の難治性高血圧を合併している |
人工血管にはステントグラフトも含まれます。開胸手術による人工血管置換術だけでなく、ステントグラフト内挿術を受けた場合も、原因疾患や一般状態と併せて確認されます。
認定基準の原文は、日本年金機構の「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」で確認できます。
一般状態区分「イ」「ウ」の意味
| 区分 | 状態の目安 |
|---|---|
| イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限されるものの、歩行、軽労働、座業はできる状態 |
| ウ | 歩行や身の回りのことはできるが、ときに介助が必要で、軽労働はできず、日中の50%以上は起きている状態 |
人工血管を挿入していても、一般状態が「ア」、つまり症状や社会活動上の制限がほとんどない状態であれば、明示された3級基準にはそのまま当てはまりません。診断書には手術歴だけでなく、現在の生活・労働制限を正確に反映することが重要です。
障害年金でいう難治性高血圧とは
障害認定基準では、生活習慣の修正を行い、適切な降圧薬を3薬以上、適切な用量で継続して使用しても、収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上である状態を難治性高血圧としています。
単に高血圧の診断があることや、降圧薬を服用していることだけで該当するわけではありません。使用薬、用量、治療経過、血圧値などの医学的資料が必要です。
胸部大動脈解離・大動脈瘤で1級・2級となる可能性
大動脈疾患は、一般的には1級・2級には該当しにくいとされています。ただし、関連する合併症や周辺臓器への圧迫症状、手術後遺症の程度によっては、上位等級に認定される可能性があります。
- 合併症や後遺症によって日常生活が著しく制限されている
- 身の回りのことにも頻繁な介助が必要である
- 自力での外出がほとんどできない
- 複数の心血管疾患が重なり、全身状態が重い
上位等級は、胸部大動脈解離や大動脈瘤という病名だけで判断されません。臨床症状、検査結果、治療経過、具体的な日常生活状況などを総合的に審査します。
初診日に国民年金加入の場合は3級がない
障害基礎年金には1級と2級しかありません。初診日に自営業、学生、無職などで国民年金に加入していた方は、3級相当の状態だけでは原則として障害基礎年金の対象になりません。
合併症や手術後遺症を含めて日常生活が著しく制限され、2級以上に該当するかを確認する必要があります。
胸部大動脈解離・大動脈瘤で障害年金を申請する3つの要件
1.初診日を証明できること
初診日は、障害の原因となった傷病について初めて医師の診療を受けた日です。人工血管の手術日とは限りません。救急搬送以前に、胸痛や背中の痛み、高血圧などで医療機関を受診していた場合は、その受診と大動脈疾患との関係を確認します。
2.保険料納付要件を満たすこと
原則として、初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの年金加入期間のうち、保険料納付済期間と免除期間を合わせた期間が3分の2以上必要です。初診日が20歳前にある場合は、保険料納付要件を問われません。
3.障害認定日に認定基準へ該当すること
原則として、初診日から1年6か月を経過した日が障害認定日です。人工血管の挿入日が当然に障害認定日になるとは限りません。ペースメーカーや人工弁の装着日を障害認定日とする取扱いと混同せず、請求できる時期を個別に確認しましょう。
診断書と申立書で伝えるべきポイント
障害年金の審査では、診断書や病歴・就労状況等申立書が重要です。次の内容を具体的に整理します。
- 胸部大動脈解離・大動脈瘤の発症から現在までの経過
- Stanford分類、瘤の部位、手術内容
- 人工血管またはステントグラフトの挿入部位
- 血圧値、使用している降圧薬、治療経過
- 胸痛、背部痛、息切れ、疲労などの症状
- 家事、歩行、外出、通院で受けている制限
- 仕事内容、勤務時間、配置転換、職場からの配慮
福岡市や北九州市で治療を受けた場合も、医療機関の所在地で認定結果が決まるわけではありません。診断書と申立書の内容を一致させ、実際の生活・就労状況を客観的に伝えることが大切です。
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胸部大動脈解離・大動脈瘤の障害年金に関するよくあるご質問
Q1. 胸部大動脈解離になれば障害年金3級を受給できますか?
病名だけで3級になるわけではありません。人工血管を挿入して一般状態区分イまたはウに該当する場合や、難治性高血圧を合併している場合などが3級の基準として示されています。
Q2. 大動脈瘤があるだけでも障害年金を受給できますか?
大動脈瘤が存在することだけでは、原則として認定対象になるとは限りません。原疾患の活動性、人工血管の挿入、難治性高血圧、合併症、手術後遺症などを総合的に確認します。
Q3. Stanford分類A型とB型で障害年金の扱いは違いますか?
大動脈疾患の3級基準には、A型とB型の両方が示されています。ただし、分類だけで等級は決まりません。手術内容、一般状態、血圧、合併症などを含めて審査されます。
Q4. ステントグラフト内挿術も人工血管として扱われますか?
はい、障害認定基準では人工血管にステントグラフトも含まれます。ただし、ステントグラフトを挿入しただけで一律に3級となるわけではなく、原因疾患と一般状態も確認されます。
Q5. 降圧薬を3種類飲んでいれば難治性高血圧ですか?
薬の数だけでは判断できません。生活習慣の修正、適切な種類と用量による継続治療を行っても、基準以上の血圧が続いているかを医学的資料から確認します。
Q6. 手術後に仕事へ復帰していても申請できますか?
働いていることだけで申請対象外にはなりません。肉体労働の制限、勤務時間の短縮、配置転換、通院への配慮など、実際に受けている労働上の制限を具体的に説明します。
Q7. 人工血管を入れた手術日から障害年金を請求できますか?
手術日から請求できるとは限りません。人工血管については、挿入日を当然に障害認定日とする取扱いが明示されていません。原則の障害認定日と現在の状態を確認したうえで請求時期を判断します。
まとめ|人工血管・一般状態・難治性高血圧を確認しましょう
胸部大動脈解離・大動脈瘤による障害厚生年金3級では、人工血管と一般状態の組み合わせ、または難治性高血圧の合併が重要です。障害の程度によっては上位等級となる可能性もあります。
あひる社会保険労務士法人では、代表の社会保険労務士・野田大吾郎をはじめ、障害年金を専門とする社労士が対応します。福岡市中央区の本社は西鉄平尾駅から徒歩3分、博多相談会場はJR博多駅直結徒歩1分です。
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最終更新日 1週間 ago
投稿者プロフィール

- 特定社会保険労務士_全国社会保険労務士連合会 第40190102号
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障害年金は、身体障害をはじめ、知的障害、うつ病・統合失調症などの精神疾患、ガン・脳血管疾患・心疾患・糖尿病など、ケガや病気により生活や仕事に不自由のある方を対象とした制度です。
しかしながら、本来であれば受け取る権利があるにもかかわらず、認知度の低さや受給手続きの複雑さから途中で手続きをあきらめてしまったりなど、「障害年金制度」の役割を果たせておらず、多くの方々が受給に至っていないのが現状です。
そこで『障害年金のことで困っている方々の力になりたい』という想いから、障害年金特化型の当事務所を立ち上げました。
障害年金を受給できれば、ご自身やご家族の経済的な安定はもちろん、精神的な支えにも繋がるはずです。
もし障害年金のことでお悩みでしたら、まずは当事務所へお気軽にご相談ください。
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